そもそも水と火という二つの要素を物理的に結びつけることは難しい。水が火を消し、火が水を蒸発させるように、水と火は相反する。ただ未知の自然の力のおかげで、不思議な魔法を使えばこの二つが結合し、神の恵みとなりうると長い間信じられてきた。そして日本人は、天然の温泉でこそ、この相容れないはずの水と火が自然に一体化していると考えている。日本ほどしばしば温泉が話題になる国はないし、またこの自然現象を尊重し厳かなものと見なす文化も他にない。日本の温泉の歴史とはいかなるものであり、そして現代日本の伝統と文化においていかなる役割を果たしているのだろうか?さらに温泉の楽しみ方とその魅力について、この章は取り上げる。